USA TODAYは今月、ハワイの住民が旅行者に望むことをまとめて紹介する記事を公開した。
ハワイではもともとオーバーツーリズムが課題となっており観光当局も再生型観光の「マラマハワイ」の取り組みを推進しているところだが、USA TODAYの記事で紹介されたポイントは、どのデスティネーションでも問題となり得るものばかり。「責任ある観光」は「責任ある旅行者」が作るものであり、旅行観光産業関係者として、また1人の旅行者として留意しておきたい。
紹介されているのは、「ハワイの文化や環境に関心を持つ」「何も持って帰らない」「ピーク時を避ける」「野生動物の邪魔をしない」「屋外で無茶をしない」「有害な日焼け止めは使わない」「位置情報を公開しない」「誰かの暮らしの場を訪問していることを忘れない」の8点。
例えば1点目の文化や環境への関心では、立入禁止区域や聖域を尊重する方法や、旅行会社やアクティビティ業者のSDGsへの取り組みなどについて事前に調べることで正しい知識を持って行動するよう呼びかけ。
また2点目ではビーチの砂や石、火山の溶岩などを持ち出さないよう求めており、国立公園からの持ち出しはただ違法であるだけでなくハワイの人々に対して非常に失礼なことでもあるという。ちなみに火山については、蒸気噴出孔にコインを投げ入れる旅行者もいるらしく、それも避けるべき行いとされている。
このほか野生動物との関わりでは、旅行者がハワイモンクアザラシに触る場面などが度々炎上しているところ。また位置情報については、画像や動画の投稿時に場所を公開することで旅行者が殺到し住民の生活に悪影響を及ぼすリスクを指摘している。
なお、こうしたハワイの取り組みへの注目は高まってきており、米本土で音楽や映画、映画、スポーツなどエンターテイメント分野のコンテンツで人気を得ているUPROXXも今月「世界のデスティネーションのモデルになり得る」とする記事を公開。ビーチの利用制限や人数減・単価増の戦略、Airbnbなど民泊規制などの取り組みを紹介するとともに、USA TODAYが示したような配慮は「入島料のようなもの」と表現。「観光客の気まぐれが、土地や天然資源の伝統的管理者よりも優先されない未来」を築くことが重要と訴えている。